自衛隊の体験入隊って地獄?助教経験者がその内容や意味を紹介!

皆さん、こんにちは。

 

皆さんは、実際に自衛隊って何をやっているんだろうと疑問に思われた事はありませんか?

昔は世間からあまり良いイメージを持たれていなかった自衛隊という組織ですが、思い起こせば1995年に起きた阪神・淡路大震災での災害派遣で自衛隊が活躍した事で、自衛隊は必要ではないかという風潮に変わっていった様な気がします。

 

徐々に自衛隊に対する世間の印象が良くなるにつれて、自衛隊の業務に興味を持つ方も多くなっていっています。

そんな自衛隊では以前から【体験入隊】という制度があり、短期間自衛隊の訓練や生活を体験出来ます。

その制度を利用して、学校や企業などが特に新入社員に、団体行動を通して規律や団結力を養う為、【体験入隊】を経験させているところもあります。

 

私は元自衛官で、自衛隊時代はレンジャー訓練や大規模な災害派遣など色々と経験させて頂きました。

私自身は、元々自衛隊に対して良い印象も悪い印象も無く、たまたま街中で自衛隊の広報官の方に声を掛けられたのがきっかけで入隊する事になり、その後4年間、陸上自衛隊に勤務致しました。

そして自衛隊在籍中には、体験入隊の助教として、実際に体験入隊された方の指導も経験いたしました。

 

今回は、体験入隊ってどんなことをするのか気になっている方や、実際に体験入隊に行くことになった方などに、体験入隊の助教もしていた私が分かりやすくご紹介していきたいと思います。

  • 自衛隊の体験入隊って地獄?
  • 助教経験者が体験入隊の内容や意味をご紹介
  • まとめ

の順にお伝えしていきます。

自衛隊の体験入隊って地獄?

自衛隊の体験入隊とは、読んで字の如く、自衛隊が実際に生活・訓練している一部を、体験することです。

最近では、テレビでタレントの方が体験入隊を経験している映像などもあり、テレビ的に特に厳しい訓練をしていたりして、体験入隊って地獄なのでは?

と思われている方も多いかも知れません。

 

そんな体験入隊について、多くの方が具体的に疑問に思われていることとしては、

  • どこで体験できる?
  • 誰でも参加出来る?
  • 体験入隊の期間はどのくらい?
  • 体験入隊ではどんな事をする?

という様な事ではないでしょうか?

そんな疑問に一つづつ回答していきますと

 

 

どこで体験できる?

ご存知の様に自衛隊には陸・海・空とありますが、それぞれの任務も違いますし、日々の訓練も違います。

そして、体験入隊は、それぞれの部隊で行われていて、スケジュールも違います。

私は陸上自衛隊出身ですので、今回は陸上自衛隊の体験入隊についてご紹介いたします。

 

 

誰でも参加出来る?

体験入隊に参加出来るのは、基本的に個人で参加することは出来ず、学校や企業などの団体になります(一部個人でも参加出来るケースも有ります)

受け入れる部隊も体験入隊の場所や人員を確保する必要がありますので、頻繁に受け入れ出来る訳ではありません(自衛隊も人手不足です)。

 

 

体験入隊の期間はどのくらい?

基本的には、日帰りから1泊2日や2泊3日くらいまでの期間です。

 

 

体験入隊ではどんな事をする?

体験入隊で実際にどんな事をするのかというと、ある程度メニューの様なものはありますが、実際に体験入隊をする団体の目的によって内容も変わりますし、どんな事をしたいのか、その部隊の担当者との話し合いによって変わってきます

 

細かい所に違いはありますが、体験入隊の一例として、実際に私が助教として経験した体験入隊の訓練内容をご紹介していきます。

 

 

助教経験者が体験入隊の内容や意味をご紹介

実際の体験入隊の現場では、訓練内容が陸・海・空で違いますし、部隊毎によっても変わってきます

この辺りは、部隊の担当者と体験入隊を受ける団体の担当者との間で、どの様な訓練内容にするのか、話し合いによって決まります。

 

私は陸上自衛隊(普通科)で勤務していましたのが、体験入隊のパターンがありますので、陸上自衛隊での体験入隊の事例を紹介致します。

パターンとしてはこの2つ

  1. 自衛隊の広報色が強い訓練スケジュール
  2. 自衛隊の厳しさを学ぶ訓練スケジュール

それぞれ説明していきます。

 

 

自衛隊の広報色が強い訓練スケジュール

例えば、自衛隊の活動を知ってもらう、自衛隊の広報色が強い訓練スケジュールになると、訓練で行われる訓練内容は、

  • 基本教練
  • ロープ訓練
  • コンパスを使用したオリエンテーリング
  • テントの設営
  • 救命訓練
  • その他自衛隊の活動紹介や装備品の紹介

などが行われます。

 

①基本教練

基本教練とは、個人や部隊の基本的な動作の練習の事です。

皆さんもテレビなどで見た事があるかも知れませんが、個人では「気をつけ・休め・敬礼」の号令の元、決められた動作をしたり、部隊でも「前へならえ・前へ進め・分隊止まれ 」の号令で、統率の取れた動きをします。

 

基本教練は、なんとなく聞いた事はあっても、正式な動きはご存知ない方が多いので、しっかりと理解して頂きながら、自衛隊を知って頂く初歩としては分かりやすい訓練です。

特に一定の集団での基本教練では、全ての隊員がしっかり揃った動きをしているのを見ると、自衛隊を知らない方が見ても、しっかり訓練されている事が分かると思いますし、部隊としての強さを感じるでしょう。

 

号令に従って規則正しく行動するというのは、共に行動する人たちと号令と共に息を合わせて動かなければならないので、号令を意識しながら皆んなに合わせていく感覚が必要になります。

集団としての一体感を感じる事が出来るこの訓練は、企業や学校などの集団生活をする団体には好評です。

 

 

②ロープ訓練

ロープ訓練は、陸上自衛隊でもメジャーな訓練とは言えませんが(主にレンジャー訓練で使用し、この訓練を経験した事が無い隊員も多い)、比較的日常生活でも使える知識になりますので、良い訓練だと思います。

 

基本的な本結び・もやい結び・巻き結び・叶結びなどなど、色々ありますが、日常生活にかなり役に立つ知識ですので、この機会に学べるのはラッキーかも知れません(ちなみに、レンジャー訓練では、暗闇でも「もやい結び」が出来る様に、目を瞑って結んだりします)。

 

このロープ訓練では、ほとんどの場合は、色々な結び方を、各個人毎に練習していく流れになりますが、少し力を入れた訓練ですと、駐屯地内にある斜面にロープを張り、自分の体にもロープを身に付けて斜面を登り降りする訓練などもあったり、負傷者をロープを使って救護・搬送する様子を展示したりします。

 

 

③コンパスを使用したオリエンテーリング

自衛隊では、山の中などで行動する時に、コンパスを使用して地図判読をしますが、この地図とコンパスで上手く目的地に到達出来るかの訓練をします。

 

この訓練では、基本的な地図の見方とコンパスの使い方を練習しますが、時間があれば実際に駐屯地内を使用して、軽く地図判読のオリエンテーリングをしたりします。

ボーイスカウトを経験されている方などは地図判読をされた事があると思いますが、なかなか聞いてすぐ出来る事でもありませんので、知識として知っておく感じになります。

 

それでも各班に分かれて行動しますので、チーム力の強化や誰がリーダーとして行動するのか、各人の役割はどうするのかなど、各個人の性格や適性を見極める機会にもなるでしょう。

ちなみに私は苦手です。

 

 

④テントの設営

最近ではキャンプブームで、野外でキャンプをする方も多くなってきましたが、自衛隊が使用するテント(天幕)はかなり本格的です。

 

自衛隊で使用するテントは、市販のテントの様に「使いやすさ」よりも、「丈夫さ」を重視していますので、生地がかなり重くて扱いづらいです。

逆に自衛隊のテントを設営できれば、市販のテントはかなり楽に設営できる様になるでしょう。

加えて、頻繁にテントの設営をしていますので、どうやったら早く、楽に設営できるかなどの知識も教えてもらうと、後々役に立つかも知れません。

 

こちらもやり方次第によっては、チームの団結力だったり、ある一つの仕事に対する取り組み方などを見る機会にもなるでしょう。

 

 

⑤救命訓練

こちらも一般的にも役に立つ訓練になりますが、訓練内容的にも自衛隊専門ではなく、日常生活でも使える救命知識の訓練内容になっています。

 

基本的な内容は、AEDを使用したものや、人工呼吸の仕方など、一般的にもよくある内容になりますので、知識として知っておくといざという時に役に立つかも知れません。

もちろん自衛隊特有の救急救命もありますので、興味がある方はこの時に質問されると色々教えて貰えると思いますので、聞いてみられるといいと思います。

 

さらに少し力を入れてやる訓練になると、ロープを使用した山岳地帯をイメージした救助訓練などもありますが、それが体験入隊であるとしても、自衛官が展示してみせるくらいでしょう。

 

 

⑥その他自衛隊の活動紹介や装備品の紹介

その他は、座学として、自衛隊の災害派遣での活動や各部隊の活動内容を紹介したり、実際に使用している装備品を紹介したりします。

全く興味が無い方は、眠くなってしまうかもしれません。

それでも多くの方は実際に自衛隊と接触する機会はなかなか無いと思いますので、特に装備品は市販の製品とは異なりますので、じっくり見て欲しいですね。

 

 

自衛隊の厳しさを学ぶ訓練スケジュール

企業や学校などの団体が体験入隊を通じて社員や学生に「規律・団体行動・限界への挑戦」などを学ばせたい時の訓練内容は、

  • 基本教練
  • 行進訓練
  • 体育訓練
  • 営内生活体験

といったものです。

 

①基本教練

こちらは広報色が強い訓練スケジュールと同じですが、自衛隊の基本中の基本と言える動作ですし、一般的にも知られていますのでイメージしやすいということもあり、外せない訓練になります。

特に厳しめの訓練になると、言われた行動が出来なかった場合に、ペナルティとして腕立て伏せをさせられたりします(一人が出来なくても全員が団体責任としてペナルティを課されます)。

 

 

②行進訓練

こちらは、自衛隊の被覆を着用して、10~20kmくらいを隊列を組んで歩く訓練になります。

何も持たずにただ歩く場合もありますが、背嚢と呼ばれるリュックを背負って、ある程度負荷をかけて歩く事もあります。

 

自衛隊の実際の訓練では隊員でも数名は必ず脱落する、隊員が嫌いな訓練の一つです。

 

本来は参加者全員が最後まで歩き抜くという制限を設けて、苦しくても簡単には諦めない気持ちや団体の団結力の向上を図る目的もあります。

単純に体力が無ければ最後まで歩けないですが、それでも辛い時に簡単にリタイヤしてしまう人か、周りから止められるまで頑張る人なのか、その人のパーソナリティが出やすいところでもあります。

 

 

③体育訓練

自衛隊で行われる「自衛隊体操」から始まり、基本的な腕立て伏せ・腹筋などを行ったのち、駐屯地内を、迷彩服を着て数キロ走る訓練になります。

 

私が助教をしていた時は、ある専門学校生の体験入隊で、全員10代の若い方々でしたが、自衛官が使う壁や有刺鉄線(匍匐前進用)があるコースを使用していましたので、数人途中で脱落してしまいました。

 

普段運動をしていない方は、ただ走るだけでもキツイと思いますが、障害物があるコースは完走するだけでもやり切った感があったと思います。

この訓練に関しては、個人の体力には差があるので完走するというよりも、それぞれの個人が自分の限界に挑戦して苦しい時に諦めない気持ちや、途中で辞めたいという自分自身と戦うところに意味が有ります。

 

加えて、体力があって先にクリアした人などが、まだ頑張っている人を鼓舞したりして、団体としての団結力も強くなる訓練にもなっています。

 

 

④営内生活体験

宿泊がある体験入隊では、自衛隊員が実際に行っている勤務時間以外の生活を体験します。

内容は、

  • 食事
  • 風呂
  • アイロン
  • ベッドメイク
  • 点呼

などですが、もちろんその体験入隊でどこまで制限を設けるかによって変わってきますが、例えばその団体で団結力を育てたい場合は、体験入隊中は集団で行動する様に決まりを作り、食事や風呂は全員で同時に行き、就寝前や起床後は全員で並んで点呼を取ったりします。

特に個人が孤立しがちな現代では、経験したくても出来ない体験ですので、きっと新鮮な気持ちで挑めると思います。

 

その他アイロンやベッドメイクなどは、日常生活では経験しない方もいらっしゃるので、意外と熱心に取り組んで頂いていた印象が有ります。

 

企業や学校という団体で体験入隊をされるところは、その団体が自衛隊という組織を経験する事によって得るものを期待していらっしゃいます。

私も実際に専門学校の体験入隊の助教を経験させて頂いて、その方々が来た時と帰る時の雰囲気が少し変わった様な印象がありました

 

そんな経験から、これまで自衛隊の体験入隊を取り入れていなかった企業や学校には、一度お試しで体験して頂きたいなと思います。

 

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まとめ

いかがでしたか?

 

今回は、『自衛隊の体験入隊って地獄?助教経験者がその内容や意味を紹介!』と題しまして、お伝えいたしました。

 

自衛隊の体験入隊は、企業や学校での研修として採用されています。

自衛隊の訓練と聞くとそれだけで「地獄を味わうのでは!」と思ってしまう方も多いでしょう。

確かに、訓練内容の中には、体力的・精神的に厳しい訓練もありますが、団体での規律や団結力、個人の忍耐力など、体験入隊で学べる事は多くあります。

 

今回は、実際に自衛隊で体験入隊の助教として経験した内容を例としてお伝えしましたが、実体験からその効果は実感しています。

 

是非、この記事をきっかけに、より多くの企業・学校で体験入隊を試して頂ければ幸いです。

いつもありがとうございます

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