皆さん、こんにちは。
元陸上自衛官として、普通科で2任期(4年間)勤務し、任期満了で退職したレンジャーアクアと申します。
私も自衛隊を退職するにあたっては、そもそも辞めるか続けるかも迷いましたし、いつ辞めたら一番いいのか、辞めるタイミングも迷いました。
自衛隊への就職をお考えの方も、実際に自衛隊に入隊した隊員が、どんな理由で辞めていくのか確認しておきたい方もいらっしゃると思います。
そして、今現役で勤務されている隊員の方も、入隊したばかりの方から、任期満了間近の方、または下士官(曹)になったものの、このまま続けていくべきか悩んでいる方もいる事でしょう。
そんな方々の為に、私の経験や退職・現役自衛官からの聞き取りから
- 自衛隊を退職する理由とは?
- 辞めて後悔する人・しない人の違いまとめ!
- まとめ
の順番にお伝えしていきます。
自衛隊を退職する理由とは?
まず自衛隊に入隊した動機によっても変わってくると思いますが、高校や大学を卒業して、最初の就職先として自衛隊に入隊した場合などは特に、漠然と定年まで勤める事を前提に入隊されている方も多いと思います。
そんな中、途中で自衛隊を辞めるにしても、それぞれ動機がありますが、自衛隊を辞める理由として多いのは、
- 任期満了
- 人間関係
- 将来への不安
- 自衛隊という組織に対する不満
- ケガ・病気
大きく分けるとこんな感じです。
任期満了
自衛隊を退職する理由としては、基本的には定年退職を含めた「任期満了」で退職する方が一番多いです。
定年退職は最後まで職務を全うすることですが、自衛隊には、入隊して2年とか3年の任期がある入り方があり、階級が陸・海・空士長までで、そこから下士官(陸・海・空曹)に上がるには試験を突破しなければ階級が上がりません。
下士官に上がらなければ定年まで続けることができませんので、必然的に1任期や2任期で退職することになります(この辞め方が圧倒的に多い)。
その場合は、任期が終了するタイミングが、退職のタイミングとしては分かりやすいですよね。
殆どの隊員がこの期間でやめていく事になりますので、(はっきり辞めるタイミングが分かっていますので)事前にその後のプランを考えておくと、後悔する事が無いと思います。
やはり自衛隊を辞めるタイミングとして迷うのは、それ以外の動機が理由で辞める場合でしょう。
人間関係
「人間関係」で言えば、そもそもあれだけ大勢の人間が共同生活をすれば、隊員同士で色々問題が出て来るのは当たり前です。
今でこそ「パワハラ」と言う言葉がありますが、自衛隊と言う組織の規律を守る為には、階級による上下関係をはっきりさせて、命令系統を決めておかなければ、成り立たないのも事実です。
例えば、業務以外での理不尽な命令があれば、上官に相談すべきですが(現場では、これもいろんなパワーバランスがあって難しいですが)、仕事場も生活している場も同じだと、なかなか線引きが難しいかも知れませんね。
ただ、例え自衛隊を辞めて一般企業に再就職したとしても、当然人間関係のトラブルは有り得る問題ですので、ある程度仕方ないと割り切って対応するか、部署の移動も選択肢の一つです。
将来への不安
「将来への不安」で悩む方で多いのは、自衛隊は「特別国家公務員」ですので、いわゆる転勤があります。
この転勤の制度の運用も時代によって変わってきますが、皆さんご存知の様に、今は転勤するにしても、かなり遠くに転勤しなければならなくなっています。
その為、将来的に家族が出来た時など、遠くに行きたく無いという理由で転職を考える隊員は多いです(その場合は、地方公務員である消防や警察を希望する隊員が多い)。
消防も警察も狭き門ですが、実際何人か私の知人も転職しています。
その点を許容している隊員は、結婚して30代で家を建てて、転勤になったら単身赴任というパターンが多いです。
自衛隊という組織に対する不満
程度の差はあれ、自衛官の誰でも感じているのが、「自衛隊という組織に対する不満」です。
自衛隊と言えば、規律を重んじる組織ですが、規律によって個人の自由は縛られてしまう事は仕方がない事です。
それでも、ごく自然な感情として自由が欲しくなリます。
そんな時、やっぱり外の世界は自由に見えるんですよね!
非常によ〜く分かります。
自衛隊では、外の世界を「娑婆(シャバ)」と呼んでいるくらいですので、見えない壁を感じてしまします。
実際に自衛隊という組織から一歩外に出れば、自衛隊よりも自由があるのは事実です。
ただ、自由を求めて再就職したとしても、結局時間は拘束されますし、場合によっては残業もありますので、想像との違いを感じて、それがストレスになってしまう事でしょう。
私の場合は、元々定年まで勤務する事は考えておらず、2任期満了というタイミングで退職したわけですが、なぜ2任期だったのかと言うと、1任期が終了するタイミングでは、ようやく自衛隊に慣れてきた様な気がして、まだまだ経験していない事も多かったですし、給料よりも人生経験として色々体験したいという思いが強く、ここからが面白いかなと思い継続しました。
そして2任期の満了が近づいて来ると、自衛官としての経験は、一通り出来たし、退職金としてもこのタイミングが一番高いので、もし自衛隊を辞めるならこのタイミングだろうという事で、退職の決断をしました。
正直なところ、自衛隊自体は、非常に居心地が良く、陸曹になってそのまま定年まで勤務する事も考えました。
その時私が思ったのは、「このまま自分が定年まで勤めた時に、自分の人生を振り返ったら後悔するんじゃないか?」と自分に問いかけました。
そして、その答えが「Yes」であったので、新しいチャレンジをすることにしました。
そんな理由で、私の場合は任期満了で退職した訳ですが、まだ入隊前の方は、やはり実際に経験してみなければ、想像がつきにくいでしょうし、元々任期がない形で入隊された方や、下士官になったものの、定年まで勤務することに不安を持ち、自衛隊を辞めたいと思われている方は、いつ辞めようか迷っている方もいらっしゃると思います。
個人的には、辞めるきっかけが無い方の場合の辞めるタイミングも、結局同じことだと思います。
それは、自分自信に問いかけてみるのです。
「このまま自分は、ここに居たら壊れてしまわないか?」
「自分はこのまま定年まで過ごして後悔はしないか?」ということです。
引き留められる場合もあると思いますが、自分の心に素直になるべきでしょう。
辞めて後悔する人・しない人の違いまとめ!
今でも毎年、退職した隊員と現職の隊員も一緒に忘年会をしている私は、自衛隊を辞めた隊員がどんな生活をしているのかよく聞く機会があります。
そんな私が聞いた、実際に自衛隊を退職して後悔する人と後悔しない人との違いをご紹介します。
自衛隊を退職して後悔する人
自衛隊を退職して後悔する人が、何故後悔するのかと言えば、「想像していたのと違う」からです。
私が聞いた自衛隊を退職して後悔した事トップ3は
- 思っていたより自由が無い
- 上司・同僚と気が合わない
- 使えるお金が少ない
になります。
①思っていたより自由が無い
やはり自衛隊生活で一番不満・ストレスを感じるのが、自由が無いところになります。
基本的に自衛官は(未婚の場合)駐屯地内に住む事になります。
1日の仕事が終わった後は自由時間になりますが、門限があり、決まった時間に戻らないと、外出自体させてもらえなくなります。
学生時代ならいざ知らず、働き出して、自分の収入で生活していく様になったにも関わらず、門限があるというのは、やっぱりストレスを感じますよね。
特に若い年代の隊員にとっては、ほとんどの隊員が不満を感じています。
自分の生活に於ける自由度、特にプライベートでの自由を求めて自衛隊を退職した隊員は、確かに一般企業で働いた場合、仕事が終われば自由になります。
ただ、自衛隊の勤務時間が8:00~17:00に対して、一般企業だと残業があったり、通勤で時間を取られてしまったりして、意外と自分で使える時間が少ないことに気づきます。
そこに満足出来ず、自衛隊を辞めなくてもよかったかなと後悔している隊員は結構います。
職場にいる元自衛隊の人に「なんで自衛隊やめたの?」って聞いたら「ずっと寮と職場の行き来なので外の世界知りたかったから」って言った後、
すぐに「外の世界は自由だと思ってたけど違った。壁の中で過ごしてる時のが自由があった。」って言っててエレンイェーガーかと思った pic.twitter.com/g8WItHJiWo— 壱獅忌コボ (@141kobo) May 6, 2022
ズバリコレです!
②上司・同僚と気が合わない
自衛隊での人間関係に悩んで退職した隊員などは、とにかく今の人間関係から逃れたいとの思いで退職します。
もちろん体調を崩すほどの状況になるくらいなら自衛隊を辞めるという選択はアリだと思います。
ただ、再就職先での人間関係に大きな期待を持って自衛隊の退職を選ぶ事はお勧めしません。
やはり人間関係はどこに行っても同じですし、上司との関係についても、自分では常識と思っていても、一般企業の常識とはズレているケースがあるからです。
実際に自衛隊退職後に、どうしても人間関係が思った様にうまくいかず、何度も転職を繰り返している後輩もいますので、自衛隊を退職する理由として現状の人間関係が上手くいかない事を挙げる方は、一旦冷静になって考える時間を持った方が良いでしょう。
③使えるお金が少ない
自衛隊は公務員ですので、一般の方は、自衛官は収入が多いと思われているかも知れませんが、年功序列ですし、何かと給料から引かれるお金も多くて、特に手取りが少ないと感じます。
そんな中で、もちろんバイトなどの副業も禁止されていますので、お金の面で不満を感じている隊員は多く、もっと収入を増やしたいという目的で退職する隊員もいます。
実際に自衛隊を退職すると、自分で働き方や収入源も選べる為、収入を増やす事は可能です。
ただ、忘れがちなのは、自衛隊の部隊内に住んでいると、生活費がかからず、極端な話、1円も使わずに生きていく事は出来ます。
自衛隊に入る前に一人暮らしを経験していないと、生活費がどれくらいかかるか分からない隊員がほとんでです。
そういった意味で、自分が想像していたより使えるお金が少ないと感じ、自衛隊退職を後悔している元隊員もいます。
自衛隊を退職して後悔しない人
自衛隊退職者と話をしてみて、退職して後悔していない人の特徴としては
- やりたい事をやっている
- 不満・愚痴を言わない
- チャレンジ精神がある
が挙げられます。
①やりたい事をやっている
自衛隊を退職する前から、既にやりたい事が決まっていて退職する人は、ほとんど後悔していません。
人数的には少ないですが、「辞めたくなったから辞めるのではなく、他にやりたい事が出来たから辞める」人は、例え再就職先で嫌な事があっても、それも想定に入っていて、楽しんで働いています。
②不満・愚痴を言わない
自衛隊を退職して後悔しない人の特徴として、元々不満や愚痴を言わない人というのもあります。
自衛隊の訓練や生活の中では理不尽な事も多々ありますが、それを自分なりに受け入れて、対処していく事ができる人は、一般社会・企業での生活で起こる困難にも柔軟に対応していってます。
これは人生経験と共に変わっていく所でもありますので、若い年代で退職していく隊員では、難しいかも知れません。
③チャレンジ精神がある
「やりたい事をやっている人」にも当てはまりますが、コレがやりたいと心に決めて、それにチャレンジしていくタイプの人は、例えそれが思った様にいかなくても後悔しない傾向があります。
自衛隊を退職前にやりたい事が決まっていなくても、好奇心旺盛で、チャレンジ精神がある人は、自衛隊を退職した後の目標が、漠然とお金を稼ぎたいという様なものでも、失敗した時に反省はしても後悔はしません。
個人的には私はこのタイプに当たるかなと思います。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、『自衛隊を退職する理由とは?辞めて後悔する人・しない人の違いまとめ!』と題しまして、お伝えしました。
自衛隊に入隊する動機は人それぞれですが、退職する動機も人それぞれです。
自衛隊に憧れて、一生を捧げるつもりで入隊された方や、私の様に3日で辞めてもいいくらいの軽い気持ちで入隊した人間まで様々です。
それでも、せっかく人生の一部分を過ごした自衛隊と言う組織や自衛官だった自分を嫌いになったり、後悔してほしく無いので、自衛官から転職にした経験者としてお伝えさせて頂きました。
自衛隊を辞めるタイミングとしては、自分自身に問いかけて、後悔しないタイミング。
さらに参考までに、自衛隊を辞めて後悔する人・しない人までお伝えしました。
自衛隊に入隊するかどうか迷っている方も、実際に入隊して、若くして自衛隊を辞める事になっても、そこからの人生の方が長いので、どこで何をするにしても、自衛隊の経験は、きっと役に立ちます(意識しているかしていないかは別ですが)。
今でも、自衛隊時代の仲間に会うと、バカな話で盛り上がります。
また皆さんとどこかで、自衛隊あるあるを話せる日が来る事を楽しみにしています!
いつもありがとうございます。
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